幸福の王子

ふと、ネットサーフィンをしていたときに、オスカー・ワイルドの名言である

私たちは皆ゴミための中にいる。しかし、私たちのうちの何人かは、空の星を見上げている。

を見て、いろんな作品を読んでみたくなった。上記のセリフは「ウィンダミア婦人の扇」にあるものだけれど、今回読んだのはkindleで無料だった「幸福の王子」。

町の中心部に高く聳え立つ自我を持った王子像が、あちこちを飛び回って様々な話をしてくれるツバメと共に、苦労や悲しみの中にある人々のために博愛の心で自分の持っている宝石や自分の体を覆っている金箔を分け与えていくという自己犠牲の物語。
最後は、宝石もなくなり金箔の剥がれたみすぼらしい姿になった王子と、南に渡っていく時期を逃して寒さに凍え死んだツバメが残る。
皮肉と哀愁を秘めた象徴性の高い作品。

子供を対象にしていて(もちろん子供だましではない)、あっという間に読める本で、30分ぐらいで読み終わる。おそらく、燕は王子の分身であり、このような手法も児童向けの本ではよくあるなあ。

オスカー・ワイルドの生い立ちを少し見る限りは、同性愛の罪で投獄されたあとに書いた最後の作品、獄中記を読みたいな、と思っている。